漢方治療

月経前症候群(PMS)

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月経前症候群(PMS)は、月経の約1週間前から始まる症状で、体重増加、下腹部や胸の腫れや痛み、食欲の増加、情緒不安定(怒りやすさ、焦り、憂鬱など)が挙げられます。約5~8割の女性がこのような症状に悩んでいます。漢方薬の服用でこれらの症状を効果的に改善することができ、特に痛みや不快感が強い場合には艾灸(お灸)や針灸を併用することが有効です。

よく見られるタイプ/体質 

肝気鬱滞型
典型的な症状は月経前後に情緒の起伏が大きくなり、乳房の張りや痛み、両側の頭が締め付けられるように感じたり、ズキズキする痛みが顕著に現れることです。月経前には食欲が旺盛である一方、月経が始まると全く食欲がなくなります。これらは肝気鬱滞、すなわち気の巡りが悪くなることで引き起こされると考えられます。

脾腎陽虚型
典型的な症状としては、月経前に浮腫が見られ、下腹部だけでなく、両脚にも重くて腫れたような感覚が現れます。また、月経前には体重が水腫のためにかなり増加し、月経が始まると減少します。この体質の人は、採卵手術を行った後に症状が明確に現れることがあり、浮腫によってズボンのボタンが留められない、腹部が腫れて痛み、歩くときに少し前かがみになることがあります。月経が始まると浮腫が改善されます。

気滞血瘀型
症状は気滞型と重なる部分がありますが、痛みがより顕著であり、血塊が多く、それも比較的大きな塊が見られます。痛みには刺すような感覚を伴うことが多く、下腹部痛や頭痛などが典型的です。特に、腹痛が非常に強く、血塊が排出されると痛みが少し軽減するという特徴があります。月経の血は赤黒い色になります。

気血虚弱型
基礎体温が月経前の上がるべき時に上がらず、普段から冷えを感じやすく、手足が冷たくなります。疲労感が強いときには、頭の中で鈍い痛みを感じ、月経前や月経中には体力が著しく低下し、横になりたくなることが多いです。月経の血は淡い色をしています。

日常のケアと注意事項

肝気鬱滞型
漢方薬では多くの疏肝理気薬が使用され、症状が大いに改善されます。このタイプの体質の人は、普段からストレスの解消に気を配り、運動を多く取り入れることが大切です。運動は気の巡りを良くする効果があり、香辛料の多い食事(例えばカレーや煮込み料理)を多めに摂ることが推奨されます。

脾腎陽虚型
漢方薬では通常、温陽利水消腫の効果がある薬が使用され、下腹部や脚の浮腫みを改善します。その結果、下腹部の腫れが軽減され、少なくともまっすぐに歩けるようになります。もちろん、月経が始まると症状は大幅に改善されます。このタイプの人は、普段から冷たい飲み物を控え、太陽を浴びる時間を増やし、下半身の運動を増やすことが大切です。食事には生姜を多く取り入れ、生姜湯、生姜糖、生姜の千切りなどがお勧めです。若い生姜や新鮮な生姜で十分で、乾燥生姜や老姜である必要はありません。

気滞血瘀型
漢方薬では、理気薬に加えて活血化瘀薬も使用されます。痛みは、血行不良が原因であり、血行が改善されると痛みも大いに軽減されます。何人かの患者は、漢方薬を服用した後に「漢方薬が鎮痛薬のように効く」と言っており、痛みがある時に漢方薬を飲むと、すぐに痛みが治まります。また、鎮痛薬を飲んだ時はお腹に収縮感が残ることがありますが、漢方薬を飲むと月経がスムーズに進み、お腹にほとんど違和感がありません。普段から運動を心がけ、気血循環を改善することが推奨されます。痛みがあるときには、温湿布を試してみると通常は少し緩和されます。

気血虚弱型
十分な睡眠が非常に重要であり、普段から栄養豊富な、補気血の食べ物を多く摂ることが推奨されます。貧血のある女性は特に、鉄分を含む食べ物を多く摂る必要があります。例えば、赤身肉、動物の血(例:鴨の血)、動物の肝臓、干しぶどう、海苔、ほうれん草、ブロッコリーなどです。普段から食事で補うことで、月経中の不快感を軽減できます。

その他にも体質に合わせた食生活を心がけ、規則正しい生活と適度な運動、十分な睡眠をとるようにし、夜更かしは避けて常に気持ちを持つことが大切です。

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