不妊症とは?
結婚後、避妊なしでの正常な性生活(週2~3回)を行っても、1年間妊娠しない場合を不妊と呼ぶ。35歳以上の場合、半年間妊娠しなければ不妊とみなされる。
女性によく見られる不妊の原因
早発閉経、子宮内膜症(子宮腺筋症、チョコレート嚢胞)、多嚢胞性卵巣症候群、卵管閉塞、骨盤内炎症、免疫性不妊、内分泌疾患など。
男性側の主な不妊の原因
精索静脈瘤、精液異常(乏精子症、精子無力症、奇形精子症)、精管の感染・炎症や閉塞、勃起不全、早漏、先天性停留睾丸、特定の薬物や化学物質への曝露、内分泌疾患など。
漢方における不妊の分類と治療
腎陽虚(じんようきょ)
特徴:月経が遅れがちで経血量が少ない、おりものの量が多く水っぽい、下腹部が冷える、顔色がくすむ、腰がだるい、寒がり、夜間頻尿、性欲低下。高年齢や卵巣機能低下の方に多い。
治療法:腎を補い子宮を温め、衝脈を補う。「右帰丸(うきがん)」を症状に応じて調整して使用する。
腎陰虚(じんいんきょ)
特徴:月経が早まるが経血量が少ない、または少量の経血が長く続く。腰のだるさ、耳鳴り、めまい、頭が重く張ったり、不眠やほてりなどの症状がある。夜更かしや夜勤をしている方、早発閉経の方に多い。
治療法:腎を滋養し精を補い、衝脈を養う。「養精種玉湯(ようせいしゅぎょくとう)」を症状に応じて調整して使用する。
気血虚弱(きけつきょじゃく)
特徴:易疲労感、めまい、目のかすみ、動悸、胸の圧迫感、顔色が蒼白くくすんだ黄色をしている、消化不良。貧血体質や慢性疾患の方に多い。
治療法:気と血を補い、月経を整える。「帰脾湯(きひとう)」を症状に応じて調整して使用する。
肝気鬱結(かんきうっけつ)
特徴:不規則な月経周期、月経前の乳房の張りや痛み、腹部膨満感、抑うつ感、胃痛、イライラしやすい。ストレスが多く、神経質な性格の方に多い。
治療法:肝の気を巡らせ、鬱を解消し、衝脈を整える。「加味逍遙散(かみしょうようさん)」を症状に応じて調整して使用する。
寒凝血瘀(かんぎょうけつお)
特徴:月経時の強い痛みや大きめの血塊、月経時の腰痛や肛門の違和感、性交痛、手足の冷え、下腹部の冷えがあるが温めると楽になる。子宮内膜症、子宮腺筋症、チョコレート嚢胞の患者に多い。
治療法:温めて冷えを取り除き、血流を促進する。「少腹逐瘀湯(しょうふくちくおとう)」を症状に応じて調整して使用する。
湿熱(しつねつ)
特徴:おりものの量が多く、黄色っぽく粘り気があり、臭いがある。陰部のかゆみ、下腹部の不快感。陰部の感染を繰り返したり、骨盤内炎症がある患者に多い。
治療法:湿を取り除き毒を解消し、衝脈を清めて妊娠しやすくする。「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」を症状に応じて調整して使用する。
痰湿(たんしつ)
特徴:月経不順や遅れ、体重増加、易疲労、多毛、ニキビ。肥満や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者に多い。
治療法:消化器系の働きを整え、体内の余分な湿気を取り除く。「蒼附導痰丸(そうふどうたんがん)」を症状に応じて調整して使用する。
漢方専門医による妊活アドバイス
✅基礎体温を測定し、排卵のリズムを把握する。
✅夜更かしを避け、最低でも3~5日に1回の性生活を持つ。
✅生理期間中の衛生管理に注意:性交は止める。水泳や入浴(浴槽につかること)を控える。
✅ブライダルチェックを受ける(子宮卵管造影検査、精液検査など)。
✅体重(BMI)を管理し、適度な運動を行う。
✅ストレスを軽減し、リラックスする。
✅環境要因に注意する(放射線、化学物質、温度など)。