子宮筋腫は別名平滑筋腫、類線維腫とも呼ばれ、子宮筋層内の未成熟な平滑筋細胞が過度に増殖して形成されます。成長する場所によって、子宮漿膜下筋腫(Subserosal)、子宮筋層内筋腫(Intramural)、子宮粘膜下筋腫(Submucosal)の3種類に分けられます。
中医学では「症瘕(しょうか)」として知られており、『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「石瘕とは何か。石瘕は胞中に生じ、寒気が子門に侵入し、子門が閉塞し、気が通らなくなり、悪血が排出されずに滞留し、次第に大きくなり、妊娠のように大きくなる。月経が順調にこない原因は、女子に発生するもので、これを導いて排出させる必要がある」と記されています。一般的に子宮筋腫は症状がないことが多いですが、筋腫が非常に大きくなると膀胱や直腸を圧迫し、頻尿や便秘を引き起こすことがあります。また、粘膜下筋腫は過剰な経血量を引き起こし、生活に不便をもたらすことがあります。
通常、子宮筋腫のために漢方クリニックでの診療を受ける患者さまは、過剰な出血によって貧血が引き起こされている場合が多いです。治療方法としては、出血が多い時期には気を補い血を止める薬を用いて出血を抑え、同時に適切な活血化瘀薬(かっけつかおやく)を加えて内膜の完全な剥落を促し、経血がだらだらと流れ続けるのを防ぎます。出血がない時期には、貧血の改善を図るとともに、筋腫の大きさをコントロールするために軟堅散結(なんけんさんけつ)や消癥化肌(しょうじょうかき)の薬を加えることが重要です。
妊娠出産適齢期の女性の約2~3割が子宮筋腫を抱えており、年齢とともにその割合は増加します。40歳以上の女性の約5割が筋腫を持っており、発生率の高い婦人科疾患です。筋腫は着床しにくさや不妊の原因となる可能性がありますが、既婚の女性は過度に心配する必要はありません。漢方薬や鍼灸を用いて子宮環境を改善することで、妊娠や出産を成功させることが可能です。