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アメリカの研究から~睡眠不足が妊娠にあたえる影響が明らかに!

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妊活中の方は、夜のスマホは控えて早めに寝るようにしましょう!
睡眠の改善で睡眠時間が1時間増えると採卵個数が平均1.5個増加したとのこと。睡眠不足が妊娠力に与える影響が、最近のアメリカの研究分析で示されています。



妊活中の睡眠不足にはどんな悪影響が?
睡眠時間が6時間未満の方では、月経不順や精子の質の低下、ひいては自然妊娠や体外受精の成功率が低下する恐れがあります。私は診察の際、患者さんに睡眠の質について、そして運動の習慣についても聞くことがよくあります。実は、適度な運動は睡眠改善の助けになるのです。

体外受精治療中の方では、緊張や見えないプレッシャーによって睡眠の質が悪くなることがよくあります。そして、睡眠不足は成功率に影響を与えることもあります。

ある研究データによると、睡眠の改善により睡眠時間が1時間延びると平均で1.5個多く卵子を採取できたとのことでした(注)。

(注)Goldstein, Sleep Med 2017;Caetano FS 2021

睡眠不足は精子の質や妊娠に影響するのか?

これまでの研究によると、以下のことが明らかになっています:

男性・・睡眠不足は精子の質の低下や男性ホルモンの分泌量減少を招くことがあります。男性ホルモンは通常、睡眠中に最も多く分泌されるからです。

女性・・睡眠不足により、ホルモン分泌や排卵に影響が出ることがあります。また、睡眠不足により日中の仕事に影響が出ると、生活のストレスが増加、その結果として妊娠能力を低下させる可能性があります。

健康のために理想的な睡眠時間は1日7~9時間。
特に睡眠問題が起きやすいのは昼夜不規則なシフト勤務の方などでしょう。しかし、早寝早起きであっても夜更かしであっても、昼寝などでトータルの睡眠時間が十分確保されていれば、問題は少ないと考えられます。

多嚢性卵巣症候群です。どうすれば不眠の問題を改善できるでしょうか?

多嚢性卵巣症候群(PCOS)の方は、体質や肥満の影響から「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」を発症しやすく、これが多くの生理機能に影響を及ぼすことが知られています。

このような診断を受けた場合は、食事と体重のコントロールと十分な運動など生活習慣を整えることが必須。また程度によっては、健康状態の回復と妊娠力の向上にはCPAP(呼吸器)の助けがあったほうがいい場合もあります。

妊活には睡眠に関する相談・治療も含めたケアを

アメリカでは成人の約三割が「睡眠に問題がある」と感じており、一割は慢性的な不眠に悩んでいます。
慢性不眠は肥満や心血管疾患を引き起こし、さらには死亡リスクを高めるだけでなく、妊娠力にも間接的に悪影響を及ぼします。そのため、アメリカの医療界では治療の一環として睡眠の相談・評価や治療を取り入れることが推奨されています。

なかなか妊娠できないし眠りの問題も・・という方、睡眠は妊活同様に重要です。医師と相談しながら積極的に改善策を見つけてください。
健康と妊娠力向上につながる一歩を踏み出しましょう!





筆者
NUWA生殖医療センター 劉志鴻(リュウ・ツーホン)医師
医療総顧問/医師

専門分野:不妊治療、重度男性不妊症、体外受精、胚移植着床失敗後治療、卵巣機能低下、多嚢胞性卵巣、生殖内分泌治療、卵子・精子提供、卵子凍結


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